高血圧について
日本の高血圧人口は約4300万人と推定されており、日本人のおよそ3人に1人が高血圧です。
高血圧を放置していると心臓、脳、腎臓に障害を起こす可能性が高まります。
高血圧は糖尿病・腎臓病と同様に
サイレントキラー
高血圧は重症になるまでほとんど自覚症状のない疾患であるため放置されてしまう場合があります。症状がなくても治療を受ける必要があります。
高血圧で頭痛、動悸、息切れ、肩こり、めまい、むくみなどの症状が現れた場合重大な合併症が起こっている可能性があります。
糖尿病・腎臓病と高血圧
糖尿病の人は、高血糖、肥満、インスリン抵抗性等の関与により動脈硬化が進行し、血圧が高くなりやすく、そのうちの40〜60%が高血圧を合併します。また、高血圧が糖尿病腎症の発症・進行を早めます。
腎臓には細い血管(毛細血管)が多数ありますが、動脈硬化が起こると血液の流れが悪くなり、血圧が上昇します。高血圧により腎臓の機能が低下してしまい、最悪の場合は腎不全になってしまいます。
血圧の評価には家庭血圧の測定を
まず患者様に行っていただきたいのはご家庭で血圧を測定することです。
健康診断で測定したら正常範囲だから大丈夫、診察室で測定したら安定していたと安心する方がいらっしゃいます。
近年、診察室で測定する血圧(診察室血圧)よりも、家庭血圧を重視するようになってきました。
実際、診察室血圧より家庭血圧の方が疾病リスクの予測するのに優れることが証明されています。
高血圧と診断され治療を受けておられる方では、血圧が適切にコントロールされているかどうかを確認することが大変重要となります。 日々の診察の中で、血圧を下げるお薬をお飲みになっている方でも家庭血圧を測定していない方がおられます。適切なコントロールを行うためにも家庭血圧をぜひ測定してみてください。
血圧の測定方法は?
- ❶ 朝は起床後1時間以内、晩は就床前に測定しましょう。
- ❷ リラックスして測りましょう。
- ❸ 座った姿勢で正しく測りましょう。
- ❹ 毎日同じ時間帯に測りましょう。
- ❺ 排便、排尿は済ませてから測りましょう。
『上腕式』と『手首式』どっちがいいの?
上腕部で測定する『上腕式』と、手首で測定する『手首式』の2種類があります。
日本高血圧学会は『上腕式』を推奨しており、ご家庭での測定に適しています。
一方『手首式』はコンパクトで持ち運びに便利なため旅行先や外出先で簡単におこなえます。
どちらも測定精度には違いはありませんが、心臓の高さに合わせることが大切です。
降圧目標
最新の高血圧治療ガイドライン2019では、75歳未満の成人の目標血圧が家庭血圧で125/75mmHg未満、75歳以上では135/85mmHg未満とされています。糖尿病、腎臓病がある方など、目標の数値は年齢や既往症などによって変わるため患者様に合わせた血圧コントロールが重要です。
高血圧の治療
まずは生活習慣の改善を基本にし、高血圧の程度により必要に応じて薬物療法を行います。
食事療法に関しては当院の管理栄養士にご相談下さい。
生活習慣の改善
❶ 塩分制限
- 食塩6g/日 未満に抑えましょう。
❷ 肥満の解消
- 適正体重を維持しましょう。肥満は高血圧だけでなく、生活習慣病の発症リスクを上昇させます。
BMI[ 体重(kg)÷(身長m)2 ]が25を超えないようにしてください。 ❸ 節酒
- 適量は、ビール500ml/日、日本酒1合/日までとされています。
❹ 運動
- 軽く汗をかく程度の運動を30分、週に3回以上行うことをおすすめします。
*脳卒中・心筋梗塞・腎臓病などの合併症がない方が対象です。必ず医師と相談して適切な運動を行うようにしてください。 ❺ 禁煙
- 禁煙しましょう。
薬物療法
患者様に合わせた治療、また丁寧な説明を心がけております。
生活習慣の改善だけでは血圧が下がらない場合、降圧薬により治療を開始します。薬物療法の目的は、高血圧を改善して、臓器障害や合併症を予防することです。1種類の降圧薬では目標血圧まで低下しない場合は降圧薬を2種類、3種類同時に服用することもあります。
当院では血圧の値や年齢、基礎疾患、またライフスタイル、服用のタイミング等を考慮し、患者様に合わせた薬の調整を致します。
また、処方する薬に関しての起こる可能性のある副作用、注意点などをしっかりお伝えします。気になることがありましたら気軽にご質問下さい。