医療法人樹会 糖尿病・腎・高血圧 ふくはら内科クリニック

発熱外来の患者様は必ず事前にお電話をください

03-5398-0324

一般診察の患者様はweb予約でのご予約をお願い致します

慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病
(CKD:Chronic Kidney Disease)

慢性腎臓病(CKD)とは、腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下する(GFRが60ml/分/1.73m2未満)か、尿検査で蛋白尿が出るといった腎臓の異常が続く状態をいいます。

CKDの患者数は日本人の成人の8人に1人、約1330万人がCKD患者であると推定されており、『新たな国民病』といわれています。

腎臓の働き

腎臓は尿をつくるだけではなく下記のような重要な役割をしています。

  • 血液の中の老廃物をろ過して尿として排出する
  • 体の水分と電解質(ナトリウムやカリウム)のバランスを調節
  • 酸塩基平衡(酸性・アルカリ性)の調節
  • 血圧を調節するホルモン、赤血球をつくるホルモンの分泌

慢性腎臓病(CKD)は病状が進むとの機能が低下するため、それぞれに対して適切な治療を行っていきます

腎臓の働きを調べる検査

腎臓の働きを見る検査には大きく2つあります。

❶ 血清Cr(クレアチニン)値

正常値:おおよそ1.0mg/dl以下

→ 高いと腎機能が悪い

❷ 推算糸球体ろ過量(eGFR)

正常値:おおよそ100ml/min/1.73m2

→ 低いと腎機能が悪い

GFRは、どれくらい腎臓に老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、血清Cr(クレアチニン)、年齢、性別から推算されます。慢性腎臓病は重症度に応じてステージ1(G1)からステージ5(G5)の段階に分けられ、GFRが低いほど腎機能が悪いということになります。

日本腎臓学会 サイト外リンク 』のホームページで腎機能をチェックすることができます。

CKDは尿蛋白と
GFR(糸球体ろ過量)で診断されます

尿検査で
尿蛋白を
チェック
血液検査で
腎機能を
チェック
❶ 0.15g/gCr以上の尿蛋白がある ❷ GFR(糸球体ろ過量)<60ml/分/min2
❶ ❷ のいずれか、
または両方が3か月持続すると
CKD(慢性腎臓病)と診断

GFRは、どれくらい腎臓に老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、血清Cr(クレアチニン)、年齢、性別から推算されます。
GFRが低いほど腎機能が悪いということになります。

CKDの重症度分類

CKDの重症度はGFRと蛋白尿の
程度によって決まります。

左にスライドさせてご覧ください。

原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルプミン定量
(mg/日)
尿アルプミン/Cr比
(mg/gCr)
正常 微量アルプミン尿 顕性アルプミン尿
30未満 30~299 300以上
高血圧
腎炎
多発性嚢胞腎
移植腎
不明
その他
尿蛋白定量
(g/日)
尿蛋白/Cr比
(g/gCr)
正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿
0.15未満 0.15~0.49 0.50以上
GFR区分
(mL/分/1.73㎡)
G1 正常または高値 ≧90      
G2 正常または軽度低下 60~89      
G3a 軽度~中等度低下 45~59      
G3b 中等度~高度低下 30~44      
G4 高度低下 15~29      
G5 末期腎不全(ESKD) <15      

(KDIGO CKD guideline 2012 を日本人用に改変)

重症度は原疾患・GFR区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する。CKDの重症度は死亡、末期腎不全、心血管死発症のリスクを緑のステージを基準に、黄、オレンジ、赤の順にステージが上昇するほどリスクは上昇します。

注:わが国の保険診療では、アルブミン尿の定量測定は、糖尿病または糖尿病性早期腎症であって微量アルブミン尿を疑う患者に対し、3ヶ月に1回に限り認められています。
糖尿病において、尿定性で1+以上の明らかな尿蛋白を認める場合は尿アルブミン測定は保険で認められていないため、治療効果を評価するために定量検査を行う場合は尿蛋白定量を検討します。

[エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018より引用]

CKDは初期段階では自覚症状がありません。
そのままの状態で放置すると、人工透析や腎移植が必要になってしまうことがあります。
また、腎臓の働きが悪くなってしまうと心臓・血管への負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中などの合併症を引き起こすリスクが上昇します。

腎臓の機能が健常人の10%以下にまで低下すると透析療法が必要になります。

透析導入になった原疾患の割合
透析導入になった原疾患の割合

[日本透析医学会 わが国の慢性透析療法の現況(2019年12月31日現在)より引用]

CKDの2大原因は
『糖尿病』と『高血圧』です。

透析の原因疾患は、糖尿病が原因の『糖尿病性腎症』、高血圧が原因の『腎硬化症』『慢性糸球体腎炎』が全体の70パーセント以上を占めています。

主な慢性腎臓病(CKD)の
原因疾患

糖尿病性腎臓病

糖尿病で血糖値の高い状態が長期間続くことで、全身の動脈硬化が進行し、毛細血管が豊富な腎臓の糸球体でも細かな血管が壊れ、網の目が破れたり詰まったりして老廃物をろ過することができなくなるとされています。

糖尿病性腎症のページへ

腎硬化症

高血圧が原因で、腎臓の血管が動脈硬化を起こして腎臓に障害が起きることを、腎硬化症と呼びます。腎臓のなかでも糸球体にある細動脈は、血圧による負担がかかりやすい血管です。糸球体の細動脈に動脈硬化が起こると、ろ過機能が低下して腎機能低下が低下します。血液が十分に供給されないことで腎臓の細胞が死んでしまい、腎臓が萎縮して堅くなるため腎硬化症と呼ばれています。
腎硬化症による新規透析導入は近年増加傾向にあります。

慢性糸球体腎炎

腎臓(糸球体)の炎症によって、尿蛋白や血尿が出る病気を糸球体腎炎と呼びます。慢性糸球体腎炎は、尿蛋白や血尿が長期間持続するものをいいます。ほとんどが無症状で健康診断などを契機に発見されます。慢性糸球体腎炎は1つの病気ではなく、さまざまな病気の総称です。慢性糸球体腎炎の中にもいくつかタイプがあり、症状が進行しにくいものもあることが分かっています。体表的なものとしてIgA腎症があります。世界で最も多い腎炎で、特に日本を含む東アジアに多いとされます。放置していると末期腎不全になるリスクが上昇します。

慢性腎臓病(CKD)の治療

CKDの治療の目的は進行を
抑えるための治療になります。

残念ながら慢性腎臓病(CKD)に対する特効薬はまだありません。
腎機能の低下を緩徐にする治療がメインになります。

  • 生活習慣の改善
  • 食事指導
  • 高血圧の治療
  • 糖尿病の治療
  • 脂質異常症の治療
  • 貧血の治療(腎性貧血)
  • 骨やミネラル代謝異常の治療

上記をCKDのステージ、また患者様の状態に合わせて治療していきます。
また、日々の生活の中で慢性腎臓病(CKD)を悪化させる原因を避けることも非常に重要です。

慢性腎臓病(CKD)を悪化させる
原因を避けましょう!
  • 脱水
  • 解熱鎮痛剤(NSIADs)の使用
  • ビタミンD製剤の過剰な投与
    (高カルシウム血症による腎不全)
  • CT、MRIや血管撮影の際に使用する造影剤
  • 腎機能を悪化させる薬剤
  • 感染症による全身状態の悪化
  • 喫煙

上記は腎機能を悪化させる原因となるので主治医と相談しましょう。
慢性腎臓病(CKD)は早期発見・早期介入が重要になりますので早めに専門医に相談しましょう。