高血圧の種類
高血圧には血圧が高くなるはっきりとした原因が特定できない本態性高血圧と原因が特定できる二次性高血圧があります。
本態性高血圧
日本人の高血圧の約9割が本態性高血圧であり、生活習慣などの環境因子や遺伝的因子により起こります。
二次性高血圧
二次性高血圧は若年者に多く、高血圧の10〜15%を占めるといわれています。
血圧を上昇させるホルモンの異常や心臓・腎臓・血管の病気、薬剤の副作用などで起こります。
二次性高血圧の主な原因
- 腎実質性高血圧
- 腎血管性高血圧
- 原発性アルドステロン症
- クッシング症候群
- 褐色細胞腫
- 睡眠時無呼吸症候群
二次性高血圧は原因を取り除けば血圧が改善する可能性があります。
原発性アルドステロン症
二次性高血圧の一つである原発性アルドステロン症はアルドステロンというホルモンが副腎皮質から過剰に分泌されることによって引き起こされる疾患です。
何らかの原因で、副腎の腫瘍もしくは過形成により、アルドステロンが過剰に分泌されると体内の水分・塩分が過剰になり、高血圧を引き起こします。我が国の高血圧の5〜10%が原発性アルドステロン症による高血圧症と言われており、決して稀な病気ではありません。当院では原発性アルドステロン症のスクリーニング検査を行っております。
- スクリーニング検査
採血で血中のレニンとアルドステロンの濃度を測定し、血漿アルドステロン(PAC)120ng/dl以上、アルドステロン/レニン活性比(ARR)が200以上となった場合に原発性アルドステロン症を疑います。
- 負荷試験
スクリーニング検査で原発性アルドステロン症が疑われた場合はアルドステロンの分泌を評価するために以下の負荷試験を行います。
- 1. カプトプリル負荷試験
- 2. 生理食塩水負荷試験
- 3. 立位フロセミド負荷試験
- 4. 経口食塩負荷試験
当院では外来で安全に行えるカプトプリル負荷試験のみ実施しています。
- 病型の確認
負荷試験で原発性アルドステロン症と診断後に手術を行うかどうかを決めるために行う検査として副腎CT、カテーテル検査(副腎静脈サンプリング)を行います。
*CTは近隣の医療機関で行っていただきます。
スクリニーング検査、負荷試験で陽性の場合は病型の確認のために適切な医療機関に紹介させていただきます。(手術適応があるかどうか調べるためには副腎静脈サンプリングが必要です。)
治療は手術療法と内服治療の2種類があります。 どちらの治療が適しているかは副腎病変や患者様の年齢や病状、合併症等を考慮し総合的に判断して決定します。内服治療の場合はアルドステロンの作用を抑えるミネラルコルチコイド拮抗薬(MRA)が第1選択薬です。MRAにはスピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノンの3種類があります。MRAでも降圧が不十分な場合は、他の種類の降圧剤を併用します。
原発性アルドステロン症の診療手順
- スクリーニング
- 血漿アルドステロン(PAC)120ng/dl以上、アルドステロン/レニン活性比(ARR)が200以上
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- 機能確認検査
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- カプトプリル負荷試験・生食負荷試験
- 立位フロセミド負荷試験・経口食塩負荷試験
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- 病型・局在診断
- 副腎造影CT
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手術適応・希望があれば
副腎静脈サンプリング
なければ薬物療法
*当院ではスクリーニング検査、カプトプリル負荷試験を施行します。